活字耽溺者の書評集

好きな本を自由気ままに書評するブログ。

プロフィール&仕事まとめ(随時更新)

新聞・ネット等に寄せた記事が増えてきたので、自己紹介も兼ねて、おおよそまとめました。 追加されしだい随時更新していきます。 プロフィール 西野 智紀(にしの ともき) 1992年生まれ、長野県伊那谷出身。本好きが高じて、書評ばっかり書いている者です…

『歴史の証人 ホテル・リッツ』 ティラー・J・マッツェオ/羽田詩津子訳/東京創元社

※この記事はHONZからの転載です。 権力の交点となったホテルでの魅惑的な群像劇 パリの中心部、ヴァンドーム広場に面して、そのホテルは存在する。 ホテル・リッツ(Hôtel Ritz)。フランスの実業家セザール・リッツと名料理人オーギュスト・エスコフィエの…

『海岸の女たち』 トーヴェ・アルステルダール/久山葉子訳/創元推理文庫

※この記事は2017年7月16日付産経新聞読書面からの転載です。 異邦の地で闇を暴く 舞台美術家のアリーナ・コーンウェルは、じりじりしていた。彼女のおなかには、夫パトリックとの間に授かった新しい命があり、それを伝えたくて仕方がなかったのだ。ヨーロッ…

【週刊800字書評】『鏡の迷宮』 E・O・キロヴィッツ/越前敏弥訳/集英社文庫

幻覚を終わらせないリアリティ 家族や旧友と、昔の思い出を語らっているとき、認識の違いに直面したことはないだろうか。同じものを見ていた、あるいは同じ体験をしたはずなのに、話が微妙に食い違っている。議論を交わしてもお互い譲らず、あやふやで終わっ…

【週刊800字書評】『建築文学傑作選』 青木淳[選]/講談社文芸文庫

建築の気配を感じさせる文学 本書は、読売新聞の書評委員を務めたこともある建築家・青木淳が編者の建築文学選集である。建築文学とは、建築物が主役を張る作品ではなく、編者解説から引用すると、「文学のつくりそのもので、建築的な問題をはらんでいるよう…

『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』 佐々木健一/文藝春秋

※この記事はHONZからの転載です。 嵐のような天才気象学者の生涯を追う 「とにかく私の人生は面白い。安定とは無縁だった」 気象学者、藤田・テッド(セオドア)・哲也は、自身の歩みを回顧して、そう語った。本書は、彼の生涯をつぶさに書きとめた評伝であ…

『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』 ジョディ・アーチャー、マシュー・ジョッカーズ/西内啓監修/川添節子訳/日経BP社

※この記事はHONZからの転載です。 コンピューターによる文芸批評の時代 売れる小説を書きたい――作家を志す人ならば、一度は妄想する夢だろう。印税収入だけで暮らしていけたら、人生どんなに楽なことか。しかし、当然のごとく世の中は残酷で、運よくデビュー…

【週刊800字書評】『渇きと偽り』 ジェイン・ハーパー/青木創訳/早川書房

渇く心、湿る筆 ゆっくりと着実に進行する天災、日照り。雨が降らず、高温の日々が続き、水不足をもたらす。日本でも馴染みある災害の一つだが、本書の舞台であるオーストラリアでは深刻な問題となっている。その頻度たるや、十年から二十年に一度は干魃に襲…

『ぼっけえ、きょうてえ』 岩井志麻子/角川ホラー文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 悪意の淵へ誘う音と文体 タイトルの「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岡山地方の方言で、「とても、怖い」を意味する。とても怖い話――こう書くと、なんだかそれほど怖くないような感じがしてしまうが、滅相もない。本書…

『悪の教典』 貴志祐介/文春文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 人間くさい悪の本質 暴力に巻き込まれたい、と思う人はいない。暴力が好きだ、なんて人は、当たり前だがまともな人間生活を送れない。やったが最後、一瞬で社会の鼻つまみ者である。 しかしフィクションの世界となる…

『チルドレン』 伊坂幸太郎/講談社文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 純真な心を抱えて 子どものころの純真な心は、成長していくにつれ消えていく。建前と本音を使い分け、言外のルールを学び、どんどん世間ずれしていく。悲しいかな、そうでもしないと、大人の社会では生き残れない。シ…

『アヘン王国潜入記』 高野秀行/集英社文庫

この記事はシミルボンからの転載です。 唯一無二の体験記 ゴールデン・トライアングル。そこは、タイ、ラオス、ビルマの三国が国境を接する、世界最大の麻薬生産地である。世界のアヘン系麻薬の60%から70%はここで栽培されたものだともいわれるこの《麻薬地…

『燃えよ剣』 司馬遼太郎/新潮文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 心の中に息づく戦士 小説を読む醍醐味の一つは、自分と異なる生き方、考え方をなぞることだ。作家が生み出した豊穣な作品世界に身を任せ、登場人物の思考や行動に一喜一憂する。話が佳境となり、気持ちが入り込みすぎ…

『テロルの決算』 沢木耕太郎/文春文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 二つの熱気が衝突する瞬間 日比谷公会堂の檀上、短刀を水平に構えた白い顔の少年と、手を前に出し黒縁眼鏡がずり落ちた老政治家が立っている。17歳の右翼少年・山口二矢が、61歳の社会党委員長・浅沼稲次郎を襲撃した…

『決定版 2001年宇宙の旅』 アーサー・C・クラーク/伊藤典夫訳/ハヤカワ文庫SF

※この記事はシミルボンからの転載です。 驚異の世界に挑む想像力 宇宙は、想像を絶する空間である。幾多の創作者が、宇宙をモチーフに作品を創り上げてきた。だが、観測技術が発達するにつれ、創作を軽く凌駕するデータや桁外れな事実が明らかになり、真っ向…

『影武者徳川家康』 隆慶一郎/新潮文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 身を焦がさんばかりの渇望 徳川家康、関ヶ原の闘いにて暗殺される! この現実に最も震撼したのは、そばにいた家康の影武者・世良田二郎三郎。彼は、家康と年齢が近いだけでなく、背格好から体格、容貌に至るまで、家…

『最悪』 奥田英朗/講談社文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 最悪の状況に向かって落ちていく! 舞台は神奈川県川崎市近郊、主役は三人。有限会社「川谷鉄工所」経営者・川谷信次郎は、バブル崩壊の不況にあえぎながら、従業員三名の会社をなんとか切り盛りしていたが、近隣のマ…

【週刊800字書評】『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』 黒沢哲哉/双葉社

涙誘う、滅びゆく一つのエロ文化 帯に、「これまでも、これからも決して出版されない書籍の誕生。」とある。本書を読み終えて、まさしくその通りだと得心した。こんなの誰も真似できない。だいたいマニアックすぎる。一言で説明すると、全国に点在するエロ本…

『昭和声優列伝 テレビ草創期を声でささえた名優たち』 勝田久/駒草出版

※本稿は「週刊読書人」2017年4月14日号に掲載された書評の転載です。 若き声優志願者へ贈る言葉 今や声優は、若い人の間で高い人気を誇る職業の一つである。アニメ出演や洋画の吹き替え、ナレーションといった裏方仕事だけでなく、歌手となってコンサートを…

『ストーナー』 ジョン・ウィリアムズ/東江一紀訳/作品社

※この記事はシミルボンからの転載です。 地味でも平凡でも生きていく 2015年に行われた第1回日本翻訳大賞の読者賞受賞作。その前年に亡くなった翻訳家・東江一紀氏の最後の翻訳書でもある。ストーリーは、簡単に言えば、平凡な男が大学で文学の魅力にとりつ…

【週刊800字書評】『実況・料理生物学』 小倉明彦/文春文庫

料理しながらゆるく楽しく学ぶ! 金曜日16時半すぎ、大阪大学豊中キャンパス、理学部学生実習室。15名ほどの学生が講義を受けている。科目名は「料理生物学入門」。今日は小麦粉を捏ねる作業が中心だ。 P(教授) 生地を寝かせている間に、今の作業が、小麦…

【週刊800字書評】『雪盲 SNOW BLIND』 ラグナル・ヨナソン/吉田薫訳/小学館文庫

アイスランド最果ての地の群衆劇 舞台の紹介から始めよう。 シグルフィヨルズルは、アイスランド北部の最果てにある人口1200人ほどの港町。首都レイキャヴィークより北極圏に近く、環状に連なる山とフィヨルドに囲まれて、空はいつも雲に覆われ灰色にくすん…

【週刊800字書評】『時間のないホテル』 ウィル・ワイルズ/茂木健訳/東京創元社

閉鎖的無限回廊をゆく娯楽SF 原題は「THE WAY INN」で、本書に登場するホテルの名称である。どんなホテルか解説すると、世界各地に五百軒以上店舗を構える有数のホテルチェーンで、客室は百室以上。建物全体に最新設備がそなわり、巨大で魅力あふれる建築物…

【週刊800字書評】『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』 川上和人/新潮社

ボケを挟まないと死んじゃう鳥類学者 文筆家ではないのに、才気煥発な文を書く人がいる。著者もその一人であろう。簡単にプロフィールを書くと、本業は森林研究所の研究者。鳥類学を専門とし、テレビの自然番組や図鑑の監修を多く手掛けている。また、主な調…

【週刊800字書評】『十三世紀のハローワーク』 グレゴリウス山田/一迅社

膨大な資料で裏打ちされた力作解説本 本書の帯には、ゲームクリエイターの松野泰己氏が「これ、パクってイイ?」とコメントを寄せている。松野氏は、『オウガバトルシリーズ』や『FFⅫ』といった大作ゲームのシナリオ・舞台構築に携わった人物で、神話や歴史…

【週刊800字書評】『アラスカを追いかけて』 ジョン・グリーン/金原瑞人訳/岩波書店

迷宮から抜け出すには タイトルにあるアラスカとは、アラスカ州のことではなく、本書に登場する女の子の名前である。どんな子かというと、放埓で気まぐれで、ひじょうにアクティブ。趣味は読書で、寮の自室には凄まじい量の蔵書がある。早く死にたいと願いつ…

極私的2016年ベスト10冊

2017年もとうに2か月過ぎているのに、本稿は2016年刊行の書籍の極私的ベスト記事である。いや、昨年末にちゃんと投稿するつもりだったのだが、PCの不調やらなんやらですっかり忘れてしまっていた。 以下は2015年のベスト記事。 それはさておき、何を今さら………

『寝るまえ5分の外国語 語学書書評集』 黒田龍之助 白水社

言語を覚えた先の世界へ誘う書評集 私は海外文学が好きだが、語学はからっきしダメである。英語ですら怪しい。だが、海外文学を読んでいると、舞台となる国の言葉についてもついつい知りたくなってしまう。 そんなわけで、語学を学びたいとよく思うのだが、…

【産経新聞より転載】 『森の人々』 ハニヤ・ヤナギハラ著、山田美明訳 光文社

※本記事は2016年11月6日付産経新聞読書面に掲載された書評の転載です。 虚実入り交じる森をゆく 1950年、免疫学者のエイブラハム・ノートン・ペリーナ博士は、南洋ミクロネシアにあるウ・イヴ諸島のイヴ・イヴ島で、未知の部族と奇病に遭遇する。この疾…

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』 栗原康著 岩波書店

※本稿は「週刊読書人」2016年6月17日号に掲載された書評の転載です。 著者から野枝への恋文 本書は、大正時代のアナキスト大杉栄のパートナーで、女性解放運動の元祖といわれる伊藤野枝の評伝だ。ただし、物騒なタイトルから察せられるように、常識や道徳観…

『死者は語らずとも』 フィリップ・カー著 柳沢伸洋訳 PHP文芸文庫

肌感覚で突き付けられる歴史と現実 私は本書の主人公ベルンハルト(ベルニー)・グンターの追っかけファンである。ボクサー顔負けの強靭な腕力、ナチズムが闊歩するドイツでも屈しない精神力、いかなる時でも忘れない皮肉……。だから、グンター・シリーズの新…

【産経新聞より転載】 『モッキンバードの娘たち』 ショーン・ステュアート著 鈴木潤訳 東京創元社

※本記事は2016年6月5日付産経新聞読書面に掲載された書評の転載です。 コミカルな「継承」の物語 「才能(ギフト)はときに、拒むことのできないものである。」 本書の主人公トニ・ビーチャムの母エレナの墓石に刻まれた言葉だ。長女であるトニは冒頭、母の…

島をとにかく空想(妄想)する5冊

小学生のとき、臨海学習として、2泊3日で三河湾のとある島に渡ったことがある。見渡す限り山ばかりの長野県で暮らしてきた私にとって、四方を海に囲まれた島での生活は、なかなか不思議な体験であった。潮風、日焼けした島の住民、見慣れない鳥や昆虫、眼前…

『ドローンランド』 トム・ヒレンブラント著 赤坂桃子訳 河出書房新社

ドローンが溶け込んだ未来で 昨今世間の耳目を集める無人航空機ドローン。メディアで有用性やら問題点やら盛んに報道されているが、では実際問題として、このドローンは今後どのような影響を及ぼしていくのか? そんなクエスチョンに答える本書は、タイトル…

【産経新聞より転載】『典獄と934人のメロス』 坂本敏夫 講談社

※本記事は2016年2月28日付産経新聞読書面に掲載された書評の転載です。 窮地で結ばれた信頼関係 獄塀全壊。大正12年9月1日の関東大震災によって横浜刑務所が陥った窮状である。家屋の倒壊や広がる大火災で横浜中が地獄絵図と化すなか、構内にも火の手が…

この冬書いたもの

思わぬことを頼まれたり、五年使っていたパソコンが壊れたりして、丸三ヶ月もブログを放置してしまいました。書評ばっかりなので訪問者はもともと多くないですが、それでもわりと見ている人がいるようなので、来月からなるべく定期更新しようと思います。 以…

極私的2015ベスト 第2部(海外文学、ノンフィクション、偏愛本)

昨日に引き続き、2015年ベスト本の記事である。本記事では、海外文学(ミステリ以外)、ノンフィクション、そして私が偏愛する本を紹介する。 海外文学(ミステリ以外) ベスト5 1位 『神の水』 パオロ・バチガルピ 中原尚哉訳 新ハヤカワSFシリーズ 2位 …

極私的2015年ベスト 第1部(海外ミステリ、国内文学、話題本)

早いもので2015年も残すところわずかとなり、雑誌各誌では年末恒例の書籍ランキングが賑わいを見せている。私個人、今年は産経新聞にちょくちょく書評を寄せるようになったためか、どの本がランキング入りしたかより、どの評論家が何の本に投票したかに興味…

【産経新聞より転載+補遺】『羊と鋼の森』 宮下奈都著 文藝春秋

※本記事は2015年12月13日付産経新聞読書面に掲載された書評に補遺を加えたものです。 www.sankei.com 森をさまよい始めた人へ 物語は、北海道の山間の集落で育った一人の青年が、十七歳のとき、放課後の体育館で、ピアノが「森の匂い」のする音色を放つのを…

『見張る男』 フィル・ホーガン著 羽田詩津子訳 角川文庫

のぞき男の私小説? まるで存在感のない人間がいる。ごく一般的な容姿容貌を持ち、いつも静かで、周りの景色に溶け込み、波長を合わせて目立たぬよう振る舞う。本書の主人公ヘミングはそういう、学校や職場に一人はいそうなヤツである。 だが彼に全く特徴が…

『或る「小倉日記」伝』 松本清張 新潮文庫

生き様を決めるとき 努力のモチベーションの一つは、真っ当に評価されることである。この短篇集の主人公たちはみな、自身の境遇やコンプレックスにめげず、芸術や文芸、学問の世界でひたすらに才能を燃やして己が道を進む。 しかし、それらの世界もまた清ら…

『颶風の王』 河﨑秋子 角川書店

人智及ばぬ領域を濃厚に描く 身体の頑強な青年がひとり、雪の広がる平野で泣いている。傍らにいる逞しい馬が、青年の眼からこぼれる涙を舐める。青年の名は捨造。開拓民として北海道へ向かう道中、母から渡された壮絶な手紙を読み、その衝撃に、感情を抑えき…

『声』 アーナルデュル・インドリダソン 柳沢由美子訳 東京創元社 

癒えない傷との対峙 「なんという人生だ」 殺された男のかつての師が、男の孤独な生涯を聞き、悲嘆のあまり放った言葉だ。この言葉は、姿形を変え、幾度となく物語に表れ出ては、事件を捜査するエーレンデュルの内で重く響き渡る。読むものもまた、彼が抱え…

記憶に残る短篇集10選

少し前に、Twitterで「#本棚の10冊で自分を表現する」なるハッシュタグが話題を集めていた。詳しくは以下のリンクからわかるが、自分ならどんな10冊だろうと、本棚を探っていたところ、偶然にも、中学から高校時代にかけてつけていた読書記録を発見し、当時…

『世の終わりの真珠』 ルカ・マサーリ 久保耕司訳 シーライトパブリッシング

不死の存在めぐる大冒険SF 本書は、1963年トリノ生まれのイタリア人作家ルカ・マサーリによる、元飛行士マッテオ・カンピーニ三部作の第二作である。2013年に刊行された『時鐘の翼』の続編にあたるが、完全に独立した作品なのでこの作から読んでも問題はない…

【産経新聞より転載+補遺】『真夜中の北京』 ポール・フレンチ 笹山裕子訳 発行:エンジン・ルーム 発売:河出書房新社

※本記事は2015年9月27日付産経新聞読書面に掲載された書評に補遺を加えたものです。 www.sankei.com 3度の捜査で甦る真実 1937年1月の北京。凍てつく寒さの中、狐の精が棲むといわれる望楼・狐狸塔の下で、若い女性の惨殺死体が発見された。身元は、北京在…

『グルブ消息不明』 エドゥアルド・メンドサ 柳原孝敦訳 東宣出版

宇宙人によるバルセローナふれあい報告書 オリンピックを二年後に控えた1990年8月のバルセローナに、二人組の地球外生命体が現れる。任務は、人間社会への潜入調査。肉体を持たない形(純粋知性)である彼らは、目立たぬよう人間の姿に変える必要があった。…

『トマス・クイック 北欧最悪の連続殺人犯になった男』 ハンネス・ロースタム 田中文訳 早川書房

想像を絶する冤罪を暴いたジャーナリスト 本書に関しては「その後」から紹介したほうが良さそうだ。 去る2014年3月19日、スウェーデン・ファールンの精神科病棟にいたある男の釈放がニュースとなった。彼の名はストゥーレ・ベルグワール、またの名をトマス・…

『カルニヴィア 1 禁忌』 ジョナサン・ホルト 奥村章子訳 ハヤカワ文庫NV

水の都で繰り広げられる三人の暗闘 雪舞うヴェネツィアの夜。教会の石段に、奇妙な女性の死体が流れ着いた。頭部に二つの銃創。カトリックの女性には許されない司祭の恰好。そして、腕には不気味な紺色のタトゥー。すべてが、尋常ならざる事件であることを示…

『文章心得帖』 鶴見俊輔 ちくま学芸文庫

良い文章を書きたいと願って 書いた文章をさらすのは、いつになっても慣れない。文章には書き手の人となりがあらわれる。自分のありのままの姿をさらけだしているようなものだ。どう読まれるか、ちゃんと伝わるか、変なことを書いていないかと、書いている最…