活字耽溺者の書評集

好きな本を自由気ままに書評するブログ。

読書日記

【読書日記】2019年、今年の三冊

※この記事は週刊読書人からの転載です。 頭痛がするほど面白い難題 菅野久美子『超孤独死社会』(毎日新聞出版)は日本における孤独死の現状を凄絶な描写によって浮き彫りにするノンフィクション。亡くなった人々だけでなく遺族や特殊清掃人たちの人生にも光…

【読書日記】『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(大木毅/岩波新書)

第二次世界大戦中のドイツとソ連の戦争をコンパクトにまとめ上げた通史。この戦争のポイントは死亡者数が桁違いな点にある。ソ連は市民も含めて2700万人、ドイツは最大800万人。日本のそれが290万~310万人であることを踏まえると驚異的である。 ヒトラーは…

【読書日記】『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治/新潮新書)

各所で話題沸騰の一冊。ツイッターで、全くもって三等分になっていないケーキの図(書影の帯にある図)が回ってきたのを見た方は多いかもしれない。この絵のとおり、非行に走る少年たちの多くは認知機能が小学校低学年ほどしかなく、それゆえに反省を促した…

【読書日記】『僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由』(稲泉連/文春文庫)

このブログをはじめてもう4年以上経つ。学生時代に、君の文章はお金になるから何か書いてみたらどうですかとすすめられたのが最初で、好き勝手書いているうち、新聞に寄稿させていただいたり、有名書評サイトのメンバーにお誘いいただいたりと、色々なお仕事…