活字耽溺者の書評集

好きな本を自由気ままに書評するブログ。

2021年刊

【書評】解き明かされる探偵たちの実像『探偵はここにいる』(森秀治/駒草出版)

探偵の人生にじっくり焦点を当てた本をずっと読みたいと思っていた。フィクションではなくノンフィクションでだ。結論を先に書いてしまうと、大満足の読書となった。本書は、表舞台ではまずお目にかかることのないリアルの探偵9名(と依頼者1名)にインタビ…

【書評】無反省は凶悪犯への第一歩『罪を償うということ 自ら獄死を選んだ無期懲役囚の覚悟』(美達大和/小学館新書)

無反省は凶悪犯への第一歩 帯にある身も蓋もない惹句のとおり、本書は刑務所に服役する凶悪犯の大多数が自らの犯した罪について何ら反省していないと指摘する一冊である。 著者は、2件の殺人によって無期懲役判決を受け、すでに四半世紀以上服役中の人物。刑…

【書評】宮城の海に潜り続けた男の濃密な評伝『潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景』(矢田海里/柏書房)

その人にしか語り得ない境地というものがある。人生は十人十色だが、特殊な技能が必要で、なおかつ特異な環境に我が身を起き続けた人の軌跡はとりわけ面白い。本書は、若くして潜水の才能を発揮し、宮城の海から無数の遺体を引き上げてきた男・吉田浩文の激…