活字耽溺者の書評集

好きな本を自由気ままに書評するブログ。

2022年刊

【新刊書評】怪奇現象組み込む社会派ミステリ『踏切の幽霊』(高野和明/文藝春秋)

昔から、社会派ミステリが好きである。現実の地名とその風景描写から浮かび上がる世情や登場人物の人間くささを嗅ぎ取るのがこのうえなく愉しいのだ。魅力的な謎が絡めば完徹確定である。 本作の舞台も謎も惹かれる設定だ。1994年の冬、箱根湯本と新宿を結ぶ…