活字耽溺者の書評集

好きな本を自由気ままに書評するブログ。

HONZ書評

【書評】きわめて人間くさい動物園の物語――『東西ベルリン動物園大戦争』 ヤン・モーンハウプト/黒鳥英俊監修/赤坂桃子訳/CCCメディアハウス

※本稿はHONZからの転載です。 きわめて人間くさい動物園の物語 動物園業界には、「動物園人」という言葉があるらしい。動物や動物園のことを心から愛し、常に探究心と誇りを持って一生懸命動物園のために取り組む人のことを指し、時として人よりも動物相手の…

【書評】『進歩 人類の未来が明るい10の理由』 ヨハン・ノルベリ/山形浩生訳/晶文社

※この記事はHONZからの転載です。 悲観に入れ込みすぎないように ニュース番組を見て憂鬱になる。新聞やインターネットの記事を読んでげんなりする。暗い内容ばかりだからだ。シリア情勢、温暖化、テロに凶悪犯罪、不況、所得格差、貧困、差別、少子化・高齢…

伝統には無限サイクルがある――『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー:藤井青銅氏

※この記事はHONZからの転載です。 去る1月中旬、こんなメールが筆者のもとに届いた。「追加取材をしませんか」 柏書房の編集部からのものだった。文面によれば、筆者が年初にHONZで書いた『「日本の伝統」の正体』(藤井青銅/柏書房)のレビューを皮切りに…

『「日本の伝統」の正体』 藤井青銅/柏書房

※この記事はHONZからの転載です。 言葉の魔力に振り回されないために 周りのみんながやっているから、乗り遅れないように私もやる――誰しも一度はこうした経験をしたことがあるのではないか。仲間外れは怖いものだ。多少ヘンな流行であっても、ついつい乗って…

『どうしても欲しい! 美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究』 エリン・L・トンプソン/松本裕訳/河出書房新社

※この記事はHONZからの転載です。 理想の自分に近づきたくて 世の中にはコレクターと呼ばれる人たちがいる。特定の事物を徹底的に蒐集する人々のことだ。切手や古いコイン、宝石といった貴重品から、食玩フィギュアのような玩具、映画の半券、果ては牛乳瓶の…

『森の探偵 無人カメラがとらえた日本の自然』 宮崎学、小原真史/亜紀書房

※この記事はHONZからの転載です。 人間社会に急接近する動物たち 長野県南部、中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷。この地を拠点に、半世紀にわたって活動してきた写真家がいる。本書の著者、宮崎学である。1947年、長野県の中川村に生まれた彼は、精…

『科学捜査ケースファイル』 ヴァル・マクダーミド/久保美代子訳/化学同人

※この記事はHONZからの転載です。 凶悪犯罪と法科学の歴史200年 科学捜査は、多くのミステリードラマや推理小説の題材として扱われてきた。代表的なのは、アメリカ発のテレビドラマ『CSI:科学捜査班』や『BONES─骨は語る─』シリーズだ。日本でも『科捜研の…

『歴史の証人 ホテル・リッツ』 ティラー・J・マッツェオ/羽田詩津子訳/東京創元社

※この記事はHONZからの転載です。 権力の交点となったホテルでの魅惑的な群像劇 パリの中心部、ヴァンドーム広場に面して、そのホテルは存在する。 ホテル・リッツ(Hôtel Ritz)。フランスの実業家セザール・リッツと名料理人オーギュスト・エスコフィエの…

『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』 佐々木健一/文藝春秋

※この記事はHONZからの転載です。 嵐のような天才気象学者の生涯を追う 「とにかく私の人生は面白い。安定とは無縁だった」 気象学者、藤田・テッド(セオドア)・哲也は、自身の歩みを回顧して、そう語った。本書は、彼の生涯をつぶさに書きとめた評伝であ…

『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』 ジョディ・アーチャー、マシュー・ジョッカーズ/西内啓監修/川添節子訳/日経BP社

※この記事はHONZからの転載です。 コンピューターによる文芸批評の時代 売れる小説を書きたい――作家を志す人ならば、一度は妄想する夢だろう。印税収入だけで暮らしていけたら、人生どんなに楽なことか。しかし、当然のごとく世の中は残酷で、運よくデビュー…