活字耽溺者の書評集

好きな本を自由気ままに書評するブログ。

2017-07-02から1日間の記事一覧

『ぼっけえ、きょうてえ』 岩井志麻子/角川ホラー文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 悪意の淵へ誘う音と文体 タイトルの「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岡山地方の方言で、「とても、怖い」を意味する。とても怖い話――こう書くと、なんだかそれほど怖くないような感じがしてしまうが、滅相もない。本書…

『悪の教典』 貴志祐介/文春文庫

※この記事はシミルボンからの転載です。 人間くさい悪の本質 暴力に巻き込まれたい、と思う人はいない。暴力が好きだ、なんて人は、当たり前だがまともな人間生活を送れない。やったが最後、一瞬で社会の鼻つまみ者である。 しかしフィクションの世界となる…