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活字耽溺者の書評集

翻訳ミステリ、サスペンス、ノンフィクション等の書評。産経新聞書評欄に不定期で寄稿。

【産経新聞より転載】 『森の人々』 ハニヤ・ヤナギハラ著、山田美明訳 光文社

※本記事は2016年11月6日付産経新聞読書面に掲載された書評の転載です。 虚実入り交じる森をゆく 1950年、免疫学者のエイブラハム・ノートン・ペリーナ博士は、南洋ミクロネシアにあるウ・イヴ諸島のイヴ・イヴ島で、未知の部族と奇病に遭遇する。この疾…

『世の終わりの真珠』 ルカ・マサーリ 久保耕司訳 シーライトパブリッシング

不死の存在めぐる大冒険SF 本書は、1963年トリノ生まれのイタリア人作家ルカ・マサーリによる、元飛行士マッテオ・カンピーニ三部作の第二作である。2013年に刊行された『時鐘の翼』の続編にあたるが、完全に独立した作品なのでこの作から読んでも問題はない…

『ゴースト・ハント』 H・R・ウェイクフィールド 鈴木克昌 他 訳 創元推理文庫

英国ゴシックホラーを伝える怪異18篇 昨今巷で話題となる怖い話と言えば、やたら猟奇的であったり、奇を衒ったり、脅かすことばかりに執心していたりと、不必要なほど扇情的なものが多い。しかし、怖い話の元祖とでも言うべき怪奇現象や幽霊の類が、科学の発…

『朝のガスパール』筒井康隆 新潮文庫

虚構と現実の壁を破壊する「読者参加小説」 ご注意願いたいのは、この文章がすでに小説の一部であるということだ。つまり、虚構「朝のガスパール」はすでに始まっているのである。…… (中略) 読者にはこの虚構に参加していただきたい。いや。展開にかかわっ…

『影が行く ホラーSF傑作選』P・K・ディック、D・R・クーンツ他 中村融編訳 創元SF文庫

「ホラーSF」を骨の髄まで楽しむアンソロジー 隊員服を着込んだブロンズ色の男が、少量の血液を垂らしたシャーレに、火炎放射器で熱した針を近づけていく。周りには、成り行きを食い入るように見つめる男たちと、縄で縛られた者が三人ばかり。外は極寒の南極…

『縮みゆく男』リチャード・マシスン 本間有訳 扶桑社ミステリー

生きるとは何か問いかけるSFホラー 恐怖と絶望に震えていたはずなのに、読後感はすがすがしい。本書は、レイ・ブラッドベリから賛辞を受け、スティーヴン・キングやディーン・クーンツに多大なる影響を与えた、アメリカを代表するSF作家リチャード・マシ…